Japanese
English
綜説
Emphysematous Bullae and Blebs—特にその病態生理について
Emphysematous Bullae and Blebs, with special emfhasis on its pathological physiology
佐藤 陸平
1
Rikuhei Sato
1
1神戸医科大学第二外科
1Ⅱ Department of Surgery Kobe Medical College
pp.415-421
発行日 1955年7月15日
Published Date 1955/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200257
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いとぐち
Emphysematous Bullae and Blebs (E. B. と略記す)は,後述する様に多くは肺気腫に合併し後天的に肺気腫と同様の機転で,肺胞壁の変性,破壊,更に肺胞腔が融合拡大して出来た気嚢腫(air cyst)である。此の様なE. B. は米国に於ては,胸部「レ」線撮影を,日常臨床に用いられる様になつてから,ありふれた疾患とされており9)3),又日本に於ても小さなE. B. は,屍体解剖の折に屡々見られ,珍らしいものではない。併し日本に於ては,E. B. は,臨床家の関心をひく事なく放置されていた。米国に於ては,かなり古くから,次の点より臨床家の関心を集めた。第一に,E. B. は破れて自然気胸9)18)21)殊に緊張性気胸を来たし,生命をおびやかす事がある。第二には,E. B. が急激に,或は徐々に膨大して肺を圧迫し,呼吸困難を来たす27)。第三は,他の先天性の嚢腫性疾患(Cystic Disease)或は後天性の結核性,或は肺膿瘍の遺残性空洞等23)24)更に自然気胸14)との鑑別上から問題とされた。
我々は昭和28年に結核の肺葉切除時に,小さなE. B. を発見したが,その後高度の自然気胸例で,開胸手術に依って,鳩卵大のE. B. の破裂によるものを確め16),E. B. に対する関心を深めた。その後に11例の色々な型のE. B. を経験した28)。
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