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文献抄録
肺動脈圧ならびに肺動脈血流量と実験的肺動脈硬化症との関係/Pulmonary Vascular Effects of Moderate and Severe Hypoxia in the Dog
The Relation of Blood Pressure and Flow to the Development and Regression of Experimentally Induced Pulmonary Arteriosclerosis
黒田 久信
1
,
伊賀 六一
2
1千葉大2内
2慶大内科
pp.347,401
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200245
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臨床的研究の示すところでは,肺血管傷害は肺動脈圧充進の程度に応じて進展するが,その傷害の度合は肺循環血量の多寡と直接の関係はない。同様のことが動物実験にも示された。すなわち犬の大循環系動脈を肺動脈に吻合すると,人のいろいろの型の肺動脈圧亢進にみられると同様の肺細動脈傷害を実験的に起すことができる。この実験では動物を2群に分け,第1群は左鎖骨下動脈を左肺動賑に吻合し,第2群は左肺を切除し,左鎖骨下動脈を右肺動脈に吻合した。術後,初期には肺細動脈の中膜肥厚と内腔狭窄がみられ,後期には,内膜にfibroblastの増殖及び外膜に膠原線維の増殖が起つた。一部の血管内腔は閉塞した。しかし,リポイド浸潤や弾力線維の変性及びヒアリン変性はみられなかつた。なお,肺毛細管,肺胞及び肺静脈にはほとんど傷害はみられなかつた。Biopsyによるフオルマリン固定,toluidine blue染色標本にはmetachrolnasieの増加はみとめられず,Sudan Ⅳ染色で異常はなかつた。
この実験で,大循環系動脈を肺動脈分枝に吻合してend-to-end shuntを作る時は,肺動脈主幹に吻合して肺血流量の大きい場合よりも,肺脈管の病理変化がいちじるしい。したがつてこれらの変化が単に血流量増加にもとずくとはいわれない。
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