Japanese
English
講座
腎臟の血・Ⅱ—腎抵抗
Renal blood flow・Ⅱ--Renal resistance
上田 泰
1
,
宮原 正
1
Yasushi UETA
1
,
Tadashi MIYAHARA
1
1東京慈恵会医科大学上田内科
1Department of Ueda's Internal Medicine, Tokyo Jikeikai Medical College
pp.93-98
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200206
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
(Ⅳ)腎抵抗
腎臟の血行力学は「腎臟の血流」に深い関連性を有している。腎血行力学に於て取扱われている主なるものは糸球体濾過Glomerular filtration,濾過圧平衡Filtration pressure equilibrium,濾過圧Filtration pressure,腎組織間圧Inters—titial pressure,腎静脈圧Renal venous press—ure及び腎抵抗Renal resistanceなどであるが,本講ではこれ等のうち臨床上にも多くの関聯を有する腎抵抗について解説を試みる。
Smith,Chasis及びGoldring20)は血行力学の面より腎抵抗の問題を検討して所謂濾過圧平衡Filtration presure equilibriumに関する見解を1940年に発表した。糸球体濾過は糸球体毛細内管圧が血漿膠滲圧とBowman氏嚢内圧との和を超過すること(即ちUltrafiltrationの過程)によつて起ることが一般に認められているが,Smith等はこの糸球体内の圧関係を次の如く考察した。第一に濾過々程は可逆的であつて,糸球体毛細管内圧が血漿膠滲圧と嚢内圧の和より低下する時は,濾過は逆にBowman氏嚢より糸球体毛細管内に再吸收される。第二に血流が輸入管より輸出管に向つて流れている間に糸球体毛細管内圧は膠滲圧と嚢内圧との和に等しくなり濾過は停止する。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.