Japanese
English
原著
不完全右脚ブロツクと右室肥大
Incomplete Right Bundle Branch Block and Right Ventircular Hypertrophy.
戶山 靖一
1
,
柏村 茂
1
,
北村 旦
2
Seiichi TOYAMA
1
1大阪大学医学部堂野前内科
2大阪大学医学部第一病理
1Department of Donomae's Internal Medicine, Faculty of Medicine, Osaka University
pp.179-182
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200155
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不完全右脚ブロツクは心電図学上右脚ブロツクに含まれ,QRS時間が0.11秒以下の場合を云い,完全右脚ブロツクと同様右脚障碍により生じたものと考えられていたが,臨床上心電図を撮影していると不完全右脚ブロツクは右室肥大を伴うと思われる疾患即ち,僧帽弁狭窄症先天性心疾患中肺動脈弁狭窄症,心房中隔欠損症,フアロー四徴等に於て心電図は右室肥大型を呈せず,むしろ不完全右脚ブロツクになる事が少くない。Welsch1)も不完全右脚ブロツクは,胸部異常,冠疾患殊に心室中隔の梗塞の他に,肺動脈疾患,或は肺動脈弁疾患及右室に負担を与える疾患にみられると云い,村尾氏等の2)先天性心疾患の心電図に於ても,心房中隔欠損症,肺動脈狭窄及心房中隔欠損症,純型肺動脈狭窄,フアロー四徴等に於て可成りの率に於て不完全右脚ブロツクを認めている。
尤もこの不完全右脚ブロツクは右室肥大を伴わない場合にもみられる事から,完全右脚ブロツクと同じく右脚の障碍によるとするものが多く,Welsch1)もBarker3)も不完全右脚ブロツクと右室肥大とは別に考え,不完全右脚ブロツクに右室肥大が合併すると非常に高い遅れたR′が右側胸部誘導にみられ,その高さは1mV (10mm)を越えると云い,Barkerは更に左側胸部誘導では小さいRと深いSを示す事が多いと述べている。
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