Japanese
English
原著
肺水腫の発生に関する神経性因子
Neurogenic Factors about the Pathogenesis of acute pulmonary Edema.
斎藤 十六
1
,
富井 信明
1
,
森 澄夫
1
,
稻垣 義明
1
,
渡辺 昌平
1
Soroku SAITO
1
1千葉大学医学部第2内科
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.176-178
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200154
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肺水腫のおこりかたについては古くから二つの考えがある。一つは急性左心不全のためにおこるとするもので他の一つは肺循環における血管運動神経の急変調のためにおこるという考え方である。その因子についても多くの議論があるが,肺水腫の発因として中樞神経の障害が関与しているとする,いわゆる中樞神経病因説は有力なものの一つである。この説はMountier (1918)が重症な頭部傷害の一患者に肺水腫症状を認めたのにはじまる。その後,主としてヨーロツパの臨床学者により臨床的にその根拠はきずかれた。実験的にはJahrishがベラトリンを後頭下穿刺により脳槽腔内に注入,次いでMac Kayは脳挫傷で,Luisada, Sarnoff et alは頸動脈内に生理食塩水を加圧注入,また後頭穿刺脳槽内にフイブリノーゲンとトロンビンを注入,Paine等は脳栓塞により,またVisscher u. Kampfellは機械的に頭蓋内圧を上昇させて肺水腫をおこすことに成功し,その神経性因子を強調した。一方,わが国においても松井はJahrishの説に準じ,ペラトリンを脳槽内に注入し,肺水腫の発生機転を吟味した。上田教授は脳出血患者に,しばしば肺水腫の出現することを注目して報告され,齋藤教授は肺水腫と高血圧性脳症の関係を注目し,さらに血圧受容神経との関係を実験的に検討した。
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