講座
新しい子宮收縮剤
小畑 英介
1
1東京浜田病院
pp.42-45
発行日 1954年5月1日
Published Date 1954/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200604
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まえがき
産科で使用する種々の薬剤の中で子宮收縮剤は最も屡々用いられるもので,且最も必要にして欠くべがらざるものの一つであります.陣痛微弱の時の陣痛促進や陣痛の誘発に用いたり,分娩後の出血に対して毎常各種の子宮收縮上血配剤が使はれることは既に御存知の通りです.然し乍ら之等の薬剤は適切に使用する時は極めて有効ですが,その使い方を誤てば甚だ危険なものであることも銘記して置いて頂きたいと思います.例えば陣痛微弱の時に,陣痛を増強させる目的に,腦下重体後葉ホルモンが最も使はれますが,之を使用する時には産科医でも非常に愼重に取扱いますが,若し之を無経験な人が無暗に使用すると過強陣痛に陷り,胎兒が死亡し,更に恐しいことには子宮破裂を来して母体の死亡さえも免れ得ないと云う様なことが起ります.
然し子宮收縮剤の使い方に就ては今日述べる題目ではありませんので詳しいことは省略したいと思います.又助産婦としては自分で之等の薬剤を使用することはないと思いますので,茲には単に常識的に子宮收縮剤のことに就いて述べることにします.
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