Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
髄液は蜘網膜絨毛を通つて腦靜脈洞へ吸收されると一般に考えられているが,腦表面の靜脈又は毛細血管へ吸收されると述べている人もある。先年私共の研究室の福知善雄は,犬及び家兎の髄液腔に墨汁を反復注入し,この墨汁が髄液の流によつて蜘網膜下腔をどう移動するかを,1—2週たつた時に檢査したところ,上矢状洞の周圍には案外墨粒子の少いこと,反之腦表面の靜脈壁に多く,且つ内膜層に迄進入していることを見た。この所見より福知は髄液の腦表面静脈への直接吸收を推論したのであつた。
今回私共は死後數時間の新鮮人屍體2例に於て頭蓋骨上半を除去した後,上矢状洞を縱に切開して内腔を開放しておき,次に一側硬腦膜を中心溝附近にて開き,その腦溝のところで蜘網膜下腔に注意して墨汁を注入する。そしてこの墨汁を注入する。そしてこの墨汁が上矢状洞内の静脈開口部から出てくるか,又は蜘網膜絨毛から出てくるかを觀察したところ,靜脈開口部から早期に且つ最も多量に流出してくるのを見た。網膜絨毛も後では黒色に染まるが,色が薄い。
SUMMARY
1) We have found in cadavers that the India ink, injected into the subarachnoid space of the cerebral convexity. is discharged into the superior sagittal sinus in a larger quantity through lumina of superior cerebral veins than through arachnoid villi.
2) As Fukuchi in our laboratory has pre-viously shown, the cerebrospinal fluid seems to be absorbed directly into cerebral veins rather than through arachnoid villi.
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.