Japanese
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綜説
多様な気道上皮細胞とNotchシグナルによる分化制御
Lung Development and Airway Epithelial Differentiation via Notch Signaling
森本 充
1
Mitsuru Morimoto
1
1理化学研究所発生・再生総合科学研究センター呼吸器形成研究チーム
1Laboratory for Lung Development, RIKEN Center for Developmental Biology(CDB)
pp.689-696
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102522
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はじめに
COPDや難治性喘息のように重度な呼吸器疾患では,上皮リモデリングや肺気腫に代表される組織構造の変化を伴う症状によって呼吸機能が著しく損なわれることがある.疾患の基礎的,学術的な理解は常に求められる.なぜなら,これらの知見が治療法に多様性を与え,さらに予防法の開発,根治治療をも現実のものとすると考えられるからである.疾患に伴う組織の病変を理解するためには,そもそも正常な呼吸器組織がいかにして構築,維持されているのかを理解する必要がある.近年急激に発達してきた細胞単離技術,初代細胞培養技術,そして遺伝子工学によるモデル生物の作出技術が気道上皮の発生と維持に関する基本的な理解を大きく進めた1).この綜説では胚発生中に起こる正常な気道上皮の形成過程について概説し,特に最近注目されている細胞間シグナルであるNotchシグナルを介した気道上皮細胞の分化と分布のバランス制御について解説する.
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