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Notchシグナル
岩永 康秀
1
1東京大学整形外科
pp.974-974
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_974
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Notchシグナルは主に隣接細胞間でのシグナル伝達経路であり,多くの多細胞生物において高度に保存されている.Notchシグナル伝達経路では,細胞膜に発現しているリガンド(Dll1, 3, 4, Jag1, 2)が隣接細胞のNotchレセプター(Notch1-4)に結合することで,Taceやγセクレターゼなどの蛋白質分解酵素が活性化され,Notch受容体の細胞内ドメインの切断が起こる.細胞内へ切り離された細胞内ドメインは核内に移行し,Rbpj・MAMLなどのデオキシリボ核酸(DNA)結合蛋白質と複合体を形成し,下流の標的遺伝子の発現を調節する(図1).Notchシグナルの活性化は,主に発生過程において同一の細胞から二つの異なるタイプへの分化制御や細胞死の選択,分化や増殖の選択といった二者択一の運命決定に重要な役割をはたしている.また,成体においても組織幹細胞の未分化性や組織の恒常性の維持に深く関与している1).
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