Japanese
English
TOPICS 解剖学
Delta-Notchシグナル経路を介したパターン形成原理の解明
-――肝発生を場とした数学的アプローチ
Deciphering the pattern formation mechanism via Delta-Notch signaling pathway
――Evidence from mathematical analysis of liver development
西野 哲平
1
,
吉原 雅大
2,3
Teppei NISHINO
1
,
Masaharu YOSHIHARA
2,3
1筑波大学医学群医学類
2筑波大学グローバル教育院ヒューマニクス学位プログラム
3日本学術振興会特別研究員(DC1)
pp.1167-1168
発行日 2022年3月12日
Published Date 2022/3/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu280111167
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Delta-Notchシグナル経路を介したごま塩状パターン形成
Delta-Notchシグナル経路は,隣接する細胞上のDeltaリガンドとの結合によりNotch受容体の細胞内ドメインが切り出されて転写因子としてはたらくシグナル経路である(図1-A)1).このシグナル経路は生物多細胞化に伴って出現し2),さまざまな臓器の発生に重要である.このシグナル経路を介したパターン形成は,もともとはショウジョウバエにおける未分化な外胚葉細胞集団からの神経発生で調べられてきた3,4).この系での研究から,Notchシグナル受容細胞でのDeltaリガンド産生抑制(側方抑制)を基盤に,未分化な細胞集団から2種類の分化細胞が空間的に交互に配置する “ごま塩状パターン” の形成が提唱された.すなわち,1種類の未分化な細胞からなる組織内において,DeltaリガンドとNotch受容体の発現量の初期の微小な差が増幅された結果,ごま塩状パターンが生じると考えられてきた5)(図1-B右).
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