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特集 高血圧治療ガイドライン2014を考える
リスクの層別化による治療の手順と降圧目標
Risk Stratification and Target Blood Pressure Levels of Hypertension Treatment
長谷部 直幸
1
Naoyuki Hasebe
1
1旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野
1Division of Cardiology, Nephrology, Pulmonary and Neurology, Department of Internal Medicine, Asahikawa Medical University
pp.627-632
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102512
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はじめに
診察室血圧140/90mmHg以上のすべての高血圧患者が高血圧治療の対象となる.高血圧治療は,第1段階の生活習慣の修正と第2段階の降圧薬治療より成り,個々の患者のリスクレベルに応じて,降圧薬開始の時期が決定される.したがって高血圧患者のリスクレベルの評価は,高血圧治療の最初のステップでもある.高血圧患者のリスクの層別化に際して,JSH2009では正常高値血圧の対象についてもリスク分類を示していた.しかし,降圧目標の異なる病態が混在する正常高値血圧に対して一律のリスク分類を試みることでかえって混乱が生じていた.さらに高血圧の初診時管理計画では,同じ高リスクでも正常高値血圧の降圧薬使用については別途制限を加えざるを得なかった.JSH2014の作成過程では,これらの問題点を解消すべく検討が重ねられ,正常高値血圧に対するリスク分類を削除し,高血圧に特化した治療方針の基本プロセスを示すこととした.さらに従来,若・中年者では135/80mmHgを降圧目標としてきたために降圧薬の適用に関してしばしば混乱を生じていたが,140/90mmHgに改めたことで,無用な混乱を避けることができた.本稿では,これら新たに改訂されたJSH2014における高血圧治療基本方針の決定プロセスについて概説する.
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