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特集 最新の心房細動治療戦略―長期持続性心房細動に対するアブレーション
心房細動における炎症の役割―基礎的立場から炎症を捉える
Role of Inflammation in Atrial Fibrillation
福井 暁
1
,
髙橋 尚彦
1
Akira Fukui
1
,
Naohiko Takahashi
1
1大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座
1Department of Cardiology and Clinical Diagnosis, Oita University Faculty of Medicine
pp.226-232
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102424
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はじめに
2001年,Chungらにより血中high-sensitive C-reactive protein(hs-CRP)が心房細動患者にて上昇していることが報告されて以降(図1),心房細動と炎症の関係を示す研究結果が散見されるようになった1).最近では,hs-CRP以外にも,tumor necrosis factor(TNF-α),interleukin-6(IL-6),IL-8などの炎症性サイトカインや,炎症細胞遊走因子として知られるmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)の血中濃度が心房細動患者にて上昇していることが報告されている(表1)2).Yamashitaらは,心臓弁膜症の手術中に得られた心房組織において,心房細動合併患者では,炎症細胞,特にマクロファージの浸潤を伴う線維化が多く認められることを報告した(図2)3).これらの知見は,炎症性サイトカインの上昇のみならず,心房への炎症細胞浸潤が心房細動と関連していることを示唆するものである.また,近年,心房細動の根治術として,カテーテルアブレーションによる肺静脈隔離(pulmonary vein isolation;PVI)が普及しているが,Linらによりhs-CRPがアブレーション後の心房細動再発の予測因子であることが発表され,心房細動アブレーション後の再発にも炎症が関連していることが示唆されている4).本稿では,基礎的研究の報告を中心に,心房細動における炎症の役割について概説したい.
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