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CT,MRIなどによる心血管疾患の非侵襲的画像診断法の進歩が目覚ましい.これに関する先駆的報告が多く散見され,解説書も豊富にみられる.他方,循環器核医学検査法も着実な進歩を遂げてきている.核医学検査の最大の特徴は,最適な放射性薬剤を駆使して分子・細胞機能を映像(分子イメージング)化できる点であろう.この分子イメージングには様々な手法が紹介され注目をされているが,そのなかでも核医学検査は最もヒトへの応用が容易で,安全性も高く,臨床に広く利用されている.循環器領域でも様々な技術革新が進み,新しい機能画像診断の時代を迎えつつある.もともと核医学の発展には,撮影技術の進歩,解析法の改良,放射性薬剤の開発,新しい臨床応用の4つが重要な要素とされてきた.この特集では,それぞれ心臓核医学の新しい分野に先駆的に取り組んでおられる先生方にお願いして,これら4つの要素に関係のある内容の紹介をお願いした.宮川先生には心臓専用装置の紹介とその有効性を示していただいた.高感度の特性を生かした放射線被曝の低減や,心筋血流の定量評価は期待が大きい.久下先生には循環器領域のPETを主体とした新しい放射性薬剤を紹介していただいた.今後は神経伝達,受容体機能への新しい道筋が開拓される可能性がある.松本先生には虚血性心疾患の病態評価と予後推定を,吉永先生には心臓サルコイドーシスへの新しい応用を,笠間先生には心不全の病態評価における交感神経イメージングの役割を,さらには石田先生には心筋症における血流や分子イメージング法の意義を,それぞれ新しい解析を織りまぜつつ,解説をしていただいた.後半の4つの分野では病態評価における核医学検査の利用法の有効性を存分に理解していただけるものと期待している.虚血性心疾患に対しては予後との関連でのより効果的な診断と治療が求められようとしている.他方,心サルコイドーシスなどの炎症性疾患をはじめ,心不全や心筋症などの病態評価や,病態に即した治療戦略についての有効な情報が求められる.この特集では,心臓病における核医学検査の進歩とそれのもつ重要性について理解を深めていただき,核医学検査を有効に利用していただくことを心から願っている.
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