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綜説
心不全のチェーン・ストークス呼吸にみられる心拍の呼吸性変動(Entrainment)と呼吸性洞性不整脈が類似することの生理学的意義
Analogy of Entrainment(respiratory modulation)of Heartbeats in Cheyne-Stokes Respiration in Heart Failure and Respiratory Sinus Arrhythmia:Its Physiological Significance
安間 文彦
1
,
早野 順一郎
2
,
棚橋 保
1
,
清水 優樹
3
,
室原 豊明
3
Fumihiko Yasuma
1
,
Jun-ichiro Hayano
2
,
Tamotsu Tanahashi
1
,
Yuuki Shimizu
3
,
Toyoaki Murohara
3
1国立病院機構鈴鹿病院循環器内科
2名古屋市立大学大学院医学医療教育学
3名古屋大学大学院循環器内科
1Department of Cardiology, Suzuka National Hospital
2Department of Medical Education, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences
3Department of Cardiology, Nagoya Graduate School of Medicine, Nagoya University
pp.944-950
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102323
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心不全のチェーン・ストークス呼吸は睡眠中と運動中にみられる
うっ血性心不全(以下心不全)患者のおよそ30%に,睡眠中にチェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration:CS呼吸)が合併することが知られている1~3).例えばCS呼吸の周期を1分(その周波数は1回/60秒=0.017ヘルツ)とした場合,その呼吸パターンは,漸増して漸減する約30秒の過剰換気(hyperpnea)の時相と,さらに減衰して無呼吸になり再び換気が始まるという約30秒の低換気・無呼吸(hypopnea/apnea)の時相が繰り返される(図1).典型的な睡眠時CS呼吸では,呼吸振幅が最大となるタイミングで覚醒反応が起こる.
心不全にみられるCS呼吸は,従来から予後不良のサインであるとされ,昼間覚醒中よりも,睡眠中に頻繁に観察されることが知られていた4,5).最近の疫学研究では,心不全における睡眠中のCS呼吸は,短期予後(500日)に悪影響を与えるが,長期予後(52月)に影響しないとされる6).また,睡眠中でなく,むしろ覚醒中のCS呼吸の合併が,心不全の長期予後に悪影響を与える因子として,より重要であるとも報告されている7~9).
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