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特集 急性呼吸不全の呼吸管理
重症喘息発作および間質性肺炎増悪と呼吸管理
The Respiratory Management of Severe Asthma Attack and Acute Exacerbation of Interstitial Pneumonia
村瀬 公彦
1
Kimihiko Murase
1
1京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
1Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medicine, Kyoto University
pp.722-729
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102276
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はじめに
急性呼吸不全における人工呼吸については,患者の選択基準・人工呼吸開始のタイミング・鎮静薬の種類など様々な点について議論がなされてきた1~3).そのなかで,喘息発作および間質性肺炎(interstitial pneumonia;IP)増悪による急性呼吸不全は,呼吸器内科医が実地臨床において必ず直面する状況であり,どちらも呼吸不全が急速に進行するため,早期からの適切な呼吸管理が患者を救命するうえで重要であると考えられる.
1980年代に非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)が,気管内挿管や気管切開などの侵襲的な気管チューブを用いない呼吸管理法として登場し,これにより呼吸不全患者に対する呼吸管理の戦略は大きく変化したと考えられる.登場以来,NPPVについてもエビデンスが蓄積され,COPD急性増悪や心原性肺水腫での呼吸不全患者などに対しては,前向き無作為化試験が行われ高いレベルのエビデンスで推奨されている4~7).対して,本稿で取り扱う気管支喘息発作と間質性肺炎急性増悪については上記に述べたような疾患と比較するとNPPVのエビデンスは圧倒的に少なく,本邦のガイドラインやNavaらのレビューにおいても推奨レベルは上述の疾患群と比較すると低いところに位置付けられている(表1)8,9).本稿では,両疾患における呼吸管理の要点をまとめたうえで,NPPVに関わるエビデンスの現況と実際にNPPVを用いる際の注意点について主に解説する.
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