増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❹妊産褥婦の合併疾患への対応法
喘息増悪(発作)
黑川 裕介
1
,
武藤 愛
1
,
吉里 俊幸
1
1久留米大学医学部産科婦人科学教室
キーワード:
喘息
,
喘息増悪強度
,
吸入ステロイド薬
,
ICS
Keyword:
喘息
,
喘息増悪強度
,
吸入ステロイド薬
,
ICS
pp.287-293
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211242
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24歳,初妊婦,20歳から現在まで喫煙中.小児期から喘息に対してかかりつけ医で薬物治療を行っていたが,普段から薬物のアドヒアランスは不良のうえ,禁煙していなかった.約4週間前に市販の妊娠検査薬で陽性となったため妊娠に気づいていたが産婦人科を受診していなかった.また,最近季節が変わり,夜間軽度の喘息発作が頻回に出現していたが,かかりつけ医も受診していなかった.本日,少量の性器出血を主訴に夜間に総合病院を受診し,産婦人科医が初期対応した.診察で妊娠8週相当であった.受診時に呼吸困難を伴う喘息増悪が出現し,苦しくて横になれないほどの呼吸困難を訴え,動作も困難であったために,喘息発作を疑い,内科当直医へ引き継いだ.精査の結果,気管支喘息増悪(中発作)と診断され,β2刺激薬吸入,全身性ステロイド薬投与などの外来治療を2時間行うも反応不十分であるため,入院管理となった.入院後,喘息に対してのβ2刺激薬吸入と全身性ステロイド治療を行い,約1週間後には改善し退院可能となった.産科医が再度診察し妊娠9週の診断となった.退院時に改めて禁煙を指導し,妊娠中の気管支喘息管理は普段から吸入ステロイド薬を使用することで喘息を増悪させないことが重要であると説明した.
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