Japanese
English
Current Opinion
間質性肺炎急性増悪
Acute Exacerbation of Interstitial Pneumonia
林 宏紀
1
,
吾妻 安良太
1
Hiroki Hayashi
1
,
Arata Azuma
1
1日本医科大学内科学講座呼吸器・感染・腫瘍部門
1Division of Pulmonary Medicine, Infectious Diseases, and Oncology, Department of Internal Medicine, Nippon Medical School
pp.633-637
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101984
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間質性肺炎の急性増悪に関する現在までの概説
特発性肺線維症(IPF)は,慢性・進行性に高度の線維化,蜂巣肺の形成を来す予後不良の疾患である.この経過中,既存肺に加えて両肺野に新たな浸潤影が出現し,重篤な呼吸不全を呈する病態が「急性増悪」である.本邦では1980年代から当時の厚生省研究班において認識されており,1993年にKondohらによって3例の報告がなされている1).一方で,欧米では自然経過ないし感染の合併と考え,その概念を疑問視する傾向にあった.ただし,最近の臨床試験の結果を踏まえ,その重要性が徐々に注目され始め,2002年ATS/ERS consensus classificationに初めて「acute exacerbation」という言葉が記載され,2007年に米国のIPF Clinical Research Network(IPF-net)により急性増悪のperspectiveが作成された2).また,昨年発表されたATS/ERS/JRS/ALATのIPFガイドラインでも記載され3),臨床治験でも急性増悪が治療評価指標として含まれることが多くなっており,欧米でも十分に認識されるようになったといえよう.
診断基準として,本邦では2004年に谷口らの「びまん性肺疾患調査研究班」報告書に基づき定義され4),2011年3月に発刊された「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き 改訂第2版」にも掲載されている(表1)5).
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