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はじめに
2011年度改訂版急性心不全治療ガイドライン(班長:和泉 徹)の改訂の大骨子,小骨子を表1に示した.慢性心不全患者数は,高齢者の増加とともにますます増加の一途をたどっている.これを抑制するためには,急性心不全の原因疾患や増悪因子の管理および発症予防はもちろんのこと,大骨子に掲げた「長期予後を見据えた急性心不全治療」や「リバースリモデリングを可能とする急性心不全治療」を実践していく必要がある.そのためには小骨子の各事項を実施し,その効果の判定と評価を繰り返すことにより,時代に則した最善の急性心不全治療を確立する必要がある.さらに,単に生命予後を延長するだけではなく,如何に「生活の質(quality of life;QOL)を保ち,個々が人間らしい社会生活を送る」ことができるか,これは「高齢化社会に合わせたテイラーメード治療」として重要な課題である.さらに高齢者の歩行を守る,維持することは,日常生活動作(activities of daily livings;ADL)やQOLはもちろん,個人の「自立」や「尊厳」を守る根源となるものである.「寝たきり」や「要介護」を避けるためにも,「立たせて」,「歩かせて」退院させることの重要性を,医療サイドも患者サイドも認識する必要がある.それを実現していくためにも,チーム医療の拡充,リハビリテーション診療の充実,地域における疾病管理,予防対策の構築や実践はきわめて重要であり急務である.
本稿では,急性心不全治療ガイドラインの改訂にあたりその骨子と新たに追加された以下の項目,急性心不全の疫学,初期対応,看護,慢性閉塞性肺疾患,右心不全,緩和ケア,について主に解説したい.
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