Japanese
English
綜説
脂質異常症―ガイドラインをめぐって
Dyslipidemia-concerned with Japan Atherosclerosis Society(JAS)Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2012
福島 理文
1
,
大村 寛敏
1
Yoshifumi Fukushima
1
,
Hirotoshi Ohmura
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, School of Medicine Juntendo University
pp.260-269
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102175
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はじめに
米国では,1960年代にFramingham Studyによって,冠動脈疾患の発症に対する危険因子の概念が確立し,発症予防を目的とした生活習慣の修正や危険因子の包括的管理が積極的に進められた結果,総コレステロール値が低下し,冠動脈疾患や脳卒中による死亡率は大きく減少した.一方,わが国では,生活習慣の変化により動物性脂肪の摂取量が増加した結果,若年から中年層における総コレステロール値は米国レベルに匹敵するまでに上昇している1).加えて,糖代謝異常や肥満の増加,高い喫煙率は,今後,わが国において冠動脈疾患の発症率や死亡率増加をもたらす可能性が懸念されている.
日本動脈硬化学会により提示される『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』は,これら危険因子のなかでも特に,冠動脈疾患に関連深い“脂質異常症”を中心にまとめたものであるが,同時に,他の危険因子の包括的管理のうえに成り立っているもので,日本人の動脈硬化性疾患に対する有効な予防策および治療対策を確立するための方策であることを十分認識していただきたい.
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