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特発性間質性肺炎(IIPs)は,様々なphenotypeから構成される疾患群であり,その分類に関しては様々な議論がなされてきた.この特集では,IIPsの臨床に関する最新の知見を,この分野で活躍されている9人の先生方に解説いただいた.
井上義一先生は,2011年に上梓された,本邦の「IIPs診断と治療の手引き(改定第2版)」について,分類と診断を巡る議論の経緯や,改定内容を概説されている.國保成暁先生らは,大規模な多施設共同の無作為化プラセボ治験の結果,有効性が証明されたNAC,Pirfenidone,Sildenafil,Nintedanibなどの薬剤を紹介されている.野間惠之先生らは,IPFの診断に重要な役割を持つCT画像での“蜂巣肺”を,医師たちがどのように理解し読影しているかを調査した結果を報告されている.穂積宏尚先生らは,組織的にNSIP(nonspecific interstitial pneumonia)のパターンを呈した症例でも,背景に薬剤性肺炎・過敏性肺炎,膠原病,さらに診断基準は満たさないが膠原病を示唆する臨床症状があるUCTD(undifferrentiated connective tissue disease)などの存在を詳細に検討する必要があるとされている.板東政司先生は,線維化病変と気腫性病変がしばしば混在し,肺癌・肺高血圧症の合併・運動時の低酸素血症など様々な予後不良因子を持つ病態であり,診断基準の策定が今後の重要な課題とされている.小倉高志先生らは,「喫煙関連肺疾患」と考えられている剥離性間質性肺炎(DIP)と呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(RB-ILD)に関して,病理所見と臨床所見が混在している傾向があるという事実を踏まえて,歴史を振り返ってこれらの疾患について解説されている.近藤康博先生らは,予後不良の疾患であるIIPsの急性増悪と急性間質性肺炎(AIP)を話題に取り上げ,両者は別疾患と考えられるが,類似点も認められることを踏まえて,最新の知見を解説されている.宮崎泰成先生らは,間質性肺炎の疾患感受性遺伝子に関して,最近次世代シークエンサーの急速な技術革新を踏まえて,ゲノムから表現型に至る各段階について解説されている.小林朋子先生は,膠原病に合併する間質性肺炎について,全身性強皮症における間質性肺炎を中心に解説されている.
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