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はじめに
喫煙は肺の線維化および気腫化に関与する重要な危険因子1,2)であり,線維化病変と気腫性病変とが混在した喫煙患者にしばしば遭遇する(図1).このような症例は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)診断と治療のためのガイドライン3)では,診断の項に「特徴的な画像検査所見(上肺野に気腫性病変,下肺野に線維化病変)と呼吸機能検査所見(1秒量が低下するが肺活量も同時に低下する,1秒率は正常ないし軽度の低下,肺拡散能は高度に低下)を呈する症例が散見される」と紹介されている.一方,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial peumonias;IIPs)診断と治療の手引き4)では,診断の進め方の章の鑑別診断の項に膠原病および関連疾患や過敏性肺炎などとともに『気腫合併肺線維症』との用語で紹介されており,その病態が単に肺気腫に間質性肺炎が合併しているのか,あるいは肺気腫と間質性肺炎が喫煙という共通の原因により引き起こされているのかについての十分なエビデンスはなく,診断基準の策定が今後の課題であるとしている.また,ATS/ERS/JRS/ALAT合同によるエビデンスに基づく特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)の診断・管理ガイドライン1)では,診断・予後の章に肺気腫(emphysema)が肺高血圧とともに記載されており,IPFと肺気腫との合併がIPFとは予後の異なる別の臨床表現型(distinct clinical phenotype)であるか,単なる併存症(comorbidity)であるかは不明であるとしている.
本稿では,現時点で世界標準の明確な定義や診断基準が存在せず,臨床的症候群と捉えるべきである気腫合併肺線維症について,これまでの報告を中心に解説する.
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