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■最近の動向 細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)の主要な成分であるproteog—lycan(PGs)はcore proteinとglycosaminoglycan(GAGs)から成り,core proteinを持たないGAGであるヒアルロン酸も加え肺の病態生理に大きな役割を果たしていると考えられる.GAGは分子を構成する二糖類の構造から次の四種類に分類される:①ピアルロン酸(HA,hyaluronan),②コンドロイチン硫酸(CS,chondroitin sulphate)とデルマタン硫酸(DS,dermatan sulphate),③ヘパラン硫酸(HS,heparan sulphate)とヘパリン(Hep,heparin),④ケラタン硫酸(KS,ketaran sul—phate).PGsは最近,コア蛋白質の遺伝子毎に1つの固有名詞がつけられ,次のような新しい名称が用いられるようになり,この分類に従った研究が出てきている.デコリンdecorin(dermatan sul—phate PG),パールカンperlecan(heparan sulphate PG),ビグリカンbiglycan(small CS/DS PG),アグリカンaggrecan(large aggregating chodroitin sulphate PG),バーシカンversican(large cho—droitin sulphate PG).
肺気腫,肺線維症などはまさしくECMに病変の主座がある疾患であり,最近急速に解明されはじめている種々のECM分子の構造や機能と肺組織傷害との関係を明らかにすることは,これら難治性疾患の解明,治療法の開発に役立つと考えられ注目すべき分野である.
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