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特集 特発性間質性肺炎を見直す―特発性間質性肺炎臨床の最新知見
NSIPとUCTD
NSIP and UCTD
穂積 宏尚
1
,
千田 金吾
1
Hironao Hozumi
1
,
Kingo Chida
1
1浜松医科大学内科学第二(内分泌・呼吸・肝臓内科学分野)
1Internal Medicine 2(Divisions of Endocrinology & Metabolism, Respiratology & Hepatology), Hamamatsu University School of Medicine
pp.123-131
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102149
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はじめに
間質性肺炎を診断する際に,組織学的にNSIP(nonspecific interstitial pneumonia)パターンを呈した症例では背景に膠原病や過敏性肺臓炎,薬剤性肺炎など2次性のNSIPを来す病態がないかどうかを詳細に検討する必要がある.明らかな原因が特定されない場合には特発性NSIPと診断される.しかしながら経過観察中に膠原病を発症するNSIP症例があることや,膠原病に合併する間質性肺炎にはNSIPパターンが多く,臨床像や予後が似ていることから,特発性NSIPと膠原病の関連性が重要視されている.
UCTD(undifferentiated connective tissue disease)とはMoscaらが1999年に提唱した概念1)で,膠原病らしい身体所見や症状,血液検査所見があるものの明らかな膠原病の診断基準は満たさない一群を指す(表1).Kinderらはこの概念を応用しUCTDの診断基準を独自に定めたところ(表2),特発性NSIP症例の88%がこの基準を満たしたという2).彼らの検討にはいくつかの問題点が指摘され,特にUCTDの診断基準に議論の余地があるが,臨床的に膠原病らしい症状や検査所見がありながらも,膠原病の診断基準を満たさない『特発性』NSIPの存在は稀ではない3~5).
本稿ではまず,NSIPと膠原病との関連性,そしてUCTDの考え方と,これらの関連性を中心に概説したい.さらに,UCTDの基準を満たすNSIPの特徴や今後の課題について述べたい.
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