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Current Opinion
ARDSの呼吸管理法
Mechanical Ventilation for ARDS
大江 元樹
1
Motoki Ohe
1
1湘南藤沢徳洲会病院呼吸器内科
1Devision of pulmonary Medicine, Shonan Fujisawa Tokushukai Hospital
pp.80-84
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102138
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ARDSの呼吸管理法についての概要
ARDSは1967年にAshbaughらの第1例目の報告1)に始まる,肺炎・敗血症・外傷など,様々の原因により引き起こされる透過性亢進型肺水腫である.1994年に初めて国際的な診断基準2)が確立され,現在まで同一の基準が使用されてきた.今までに,この診断基準の問題点が論議されてきたが,①急性とはいつからか,②ALIとARDSの区別は妥当か,③PEEPを考慮に入れないPaO2/FiO2の値は酸素化の指標として妥当か,④Xp所見の評価が曖昧などの問題点を踏まえ,2011年に,欧州集中治療学会(ESICM)にて新たな診断基準が提唱された(表1)3).国際的なコンセンサスはまだ得られていないが,今後この基準に移行するものと思われる.
ARDSに対する人工呼吸管理療法は,1回換気量を6~8ml/kg(理想体重)に制限する,いわゆる低容量換気法が推奨されているが,特定の換気様式がARDSに対して有効であるという強いエビデンスはない.この換気法は2000年にARMA試験(Assessment of Respiratory Management in ALI and ARDS)の結果として発表され4),現在のARDSに対する呼吸管理療法の基本となっている.しかし,この低容量換気法が浸透した後の様々な研究においても,ARDSの致死率は35~40%と依然として高く5),1990年代と比較しても,実はあまり改善されていない6)のが現状である.
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