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特集 糖尿病と心血管疾患:インクレチン導入後を検証する
循環器医にも実践できる糖尿病治療:インクレチンの役割
Strategies in the Treatment of Type 2 Diabetes for Cardiologist:Current Incretin-based Therapy
飯田 雅
1
,
荻原 健
1
,
綿田 裕孝
1
Hitoshi Iida
1
,
Takeshi Ogihara
1
,
Hirotaka Watada
1
1順天堂大学医学部内科学・代謝内分泌学講座
1Division of Metabolism and Endocrinology, Department of Internal Medicine, Juntendo University School of Medicine
pp.28-33
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102130
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はじめに
血糖値は,膵β細胞からのインスリン分泌とインスリン標的臓器におけるインスリン感受性とのバランスにより一定の範囲に調節されている.すなわち,糖代謝異常には,インスリン分泌不全あるいはインスリン感受性の低下,もしくはその両方が必ず関与している.1型糖尿病は,自己免疫異常などにより膵β細胞が破壊され,インスリン分泌が絶対的に不足する状態である.また,2型糖尿病は,インスリン抵抗性に対する膵β細胞の代償機構の破綻により,インスリン分泌が相対的に不足することにより発症する.
糖尿病は,様々な合併症を併発することにより患者の生活の質や生命予後を著しく損なう疾患である.糖尿病特有の合併症として,糖尿病網膜症,糖尿病腎症,糖尿病神経障害があり,日本では糖尿病網膜症は緑内障に次ぐ失明原因の第2位であり,糖尿病腎症は人工透析導入の原因疾患の第1位を占めている.また,糖尿病は動脈硬化性疾患の重大な危険因子の一つである.International Diabetes Federationが2011年に公表した報告書1)では,日本における糖尿病患者数は1,067万人に上り,成人における有病率は11.2%と10人に1人を上回っている.糖尿病およびその合併症治療に費される医療費の負担も大きく,積極的な介入により糖尿病合併症を予防することが求められている.ただし,糖尿病専門医は約4,300名に留まっており,大部分の糖尿病患者の治療は必然的に非糖尿病専門医の手に委ねられている.本稿では非糖尿病専門医でも実践できる糖尿病治療を念頭におき,発売されて2年になるインクレチン関連薬の位置づけとその使用法について解説する.
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