Japanese
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Bedside Teaching
肺高血圧症の薬物治療の進歩
Progress of Drug Treatment in Pulmonary Hypertension
佐藤 徹
1
Toru Satoh
1
1杏林大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology Kyorin University School of Medicine
pp.849-854
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102028
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はじめに
肺高血圧症の原因疾患は現在では5つに分類されており,原因別に治療法を考えてみる(表1).原因1の肺動脈性肺高血圧症(PAH)は日本でも2000年以前は不治の病とされたが,その後有効な薬剤がいくつも開発され治療が格段に進歩した.原因2の左心疾患,原因3の肺疾患・低酸素血症による肺高血圧症の治療には原病の治療が主に行われる.原因4の慢性肺血栓塞栓症の病態の一部は原因1のPAHが関与しているため,まずPAHに対する経口薬が使われる.しかしこれには限度があり器質化した血栓を手術(肺動脈血栓内膜摘除術),あるいはカテーテル(経皮的肺動脈拡張術)によって排除する治療が必要となる.原因5はこれらの原因が複合したもの,あるいは全身疾患に伴う肺高血圧症で,PAHに対する治療および全身疾患の治療が行われる.以上より肺高血圧症の薬物治療とは,ほぼPAHに使用される薬物を解説すれば良いと考えられ,PAH治療薬について述べたい.
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