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Current Opinion
心不全に対する再生治療の現状と展望
Myocardial Regeneration Therapy by Cell Sheet Technology for Heart Failure
宮川 繁
1
,
澤 芳樹
1
Shigeru Miyagawa
1
,
Yoshiki Sawa
1
1大阪大学医学系研究科心臓血管外科
1Division of Cardiovascular Surgery, Department of Sugery, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.855-864
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102029
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心不全に対する再生治療についての概要
重症心不全治療として最も重要な治療法である心臓移植は,極めて深刻なドナー不足であり,新しい移植法案が可決されたものの,欧米レベルの汎用性の高い治療法としての普及は困難が予想される.一方,左室補助人工心臓(LVAD)については,日本では移植待機期間が長期であるため,感染症や脳血栓などの合併症が成績に大きく影響している.このような状況を克服するため,世界的に再生医療への期待が高まっているが,重症心不全を治癒させるまでに至らず,心臓移植やLVADに代わる新しい治療開発が急務である.
このような現状のなか,欧米を中心に,主に虚血性心筋症を対象に,骨髄単核球細胞や筋芽細胞の移植が行われている.骨髄単核球細胞や筋芽細胞を用いた細胞移植の臨床研究において,そのsafetyとfeasibilityが示されたものの,心不全に対する効果,特に長期的効果に関しては,依然議論の余地があるものと思われる.また,これらの細胞は,心筋細胞への分化能は低く,心不全に対する効果は,これらの細胞が分泌する心筋再生因子が主な役割を果たしているものと考えられている.これまで行われてきた針もしくはカテーテルによる細胞移植においては,注入した細胞溶液が,心筋組織より流出したり,血流に乗って全身に細胞が散布してしまうことにより,細胞移植の効率が悪いことが指摘されている.
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