巻頭言
GWASによる高血圧感受性遺伝子の発見とその応用への期待
梅村 敏
1
1横浜市立大学大学院医学研究科病態制御内科学
pp.789
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102025
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
高血圧は,すべての死亡原因に与える影響が最も大きい危険因子であり,日本人で約4,000万人が罹患している最多疾患である.その約9割が原因不明の本態性高血圧(EH)であり,その成因には遺伝因子と環境因子が多数関与していると考えられる.環境因子の中心である生活習慣(食塩摂取過多,肥満,運動不足,喫煙,飲酒過多など)の改善の重要性は確立している.一方,遺伝因子の解明の重要性は明らかであるが,近年まで高血圧感受性遺伝子に関するコンセンサスは不十分であった.
昨年秋のNature誌1)に全世界の約26万人を対象に,われわれも含め世界中の200を超す研究機関で共同して行った高血圧感受性遺伝子のゲノムワイド相関解析(GWAS)の結果が報告された.これは,高血圧遺伝子解析では史上最大規模のものである.29個の高血圧感受性遺伝子変異(SNPs)が確認され,日本・韓国など東アジア人(約23万人)では9遺伝子が明らかとなり,血圧に関連する主要なcommon variantが明らかになった.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.