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はじめに
光干渉断層映像(optical coherence tomography;OCT)は光を冠動脈内に投光し,その反射光を解析して画像化する新たな冠動脈画像診断装置である.OCTは優れた画像分解能を有し(10~20μm),従来の血管内超音波法(IVUS)の画像分解能(100~150μm)に比し,約10倍の画像分解能を有する.一方,OCTの画像深達能はIVUSの4分の1程度(約1~2mm)しかなく,組織深層の描出に弱点がある.本特徴から,OCTは生体表層の微細な病変を顕微鏡画像に近い精度で描出する.1991年に初めて網膜と冠動脈に対して臨床応用され1),以来冠動脈病変に対して積極的に臨床応用がされてきた.
OCTは冠動脈内膜・中膜・外膜を描出することが可能であり,さらに冠動脈内の線維性プラーク,石灰化プラーク,脂質性プラークをも識別し,急性冠症候群の発症原因となる不安定プラークの同定が試みられている.
また,冠動脈狭窄の病変長や内腔径を正確に描出し,経皮的冠動脈形成術(PCI)のガイドとしての役割も担いつつある.さらに,薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent;DES)留置後の評価に対しても,OCTは重要な情報をもたらしてきた.OCTはステントストラット個々の断面を明瞭に分離することが可能であり,ステントストラットが血管壁と密着しているかおよびストラットを覆う新生内膜が存在するかを判定し,ストラット上の組織の厚さをマイクロン単位で計測することが可能である.また,ステントに付着する壁在血栓や病的な新生内膜なども描出しうる.これらはステント留置後の組織修復過程を評価するのに重要な情報をもたらしている.
本稿ではOCTの概略および臨床での有用性について解説する.
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