Japanese
English
Bedside Teaching
肺真菌症の血清診断
Serodiagnosis in Pulmonary Mycosis
吉田 耕一郎
1
,
二木 芳人
1
Koichiro Yoshida
1
,
Yoshihito Niki
1
1昭和大学医学部臨床感染症学
1Division of Clinical Infectious Diseases, Department of Internal Medicine, Showa University School of Medicine
pp.519-523
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101962
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はじめに
医療技術の進歩や人口の高齢化に伴い,深在性真菌症の臨床的重要性は高まりつつある.今世紀以降,国内でも新規抗真菌薬が出揃いつつあり,薬剤の適正選択がさらに強く求められると同時に,治療成績の向上にも期待が寄せられている.しかし,深在性真菌症の治療成績は必ずしも満足できるものではないのが現状であり,早期診断・早期治療が予後改善の鍵となる.
肺真菌症の確定診断も他の感染症と同様に無菌検体の培養や病理学的検査で得られる.しかし,全身状態の不良さや出血傾向など宿主の有する様々な障壁から,培養や病理学的検査で本症の確定診断を早期に得ることは困難な場合が多い.そこで特にわが国ではこれに代わる補助診断法として血清診断法が重視されてきた.
代表的な肺真菌症には,侵襲性肺アスペルギルス症(IPA),肺アスペルギローマや慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)などの慢性型肺アスペルギルス症,肺クリプトコックス症,肺接合菌症などが挙げられる.これらのうち,肺接合菌症には血清診断法を応用できないので注意を要する.
本稿ではアスペルギルスとクリプトコックスによる肺真菌症に応用可能な血清診断法を紹介する.
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