Japanese
English
Current Opinion
呼吸器感染症―肺真菌症を中心に
Pulmonary Fungal Infection
吉田 耕一郎
1
,
二木 芳人
1
Koichiro Yoshida
1
,
Yoshihito Niki
1
1川崎医科大学呼吸器内科
1Department of Respiratory Diseases, Kawasaki Medical School
pp.627-631
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100318
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肺真菌症をめぐる最近1年間の話題
本項では主に肺真菌症の疫学と診断法に関する最近の話題を紹介することとし,この後,いくつかの新規抗真菌薬が発表予定である治療分野についてはトピックスの項に譲る.
わが国における代表的肺真菌症として,第一に肺アスペルギルス症,第二に肺クリプトコックス症が挙げられる.剖検例の検討ではアスペルギルス症はカンジダ症を上回り,深在性真菌症原因真菌の第1位となった.これまで本症はAspergillus fumigatusによるものが圧倒的に多いとされてきたが,近年,A.terreus,A.flavus,A.nigerなどのいわゆるnon-fumigatus aspergillosisの頻度増加が指摘されるようになった1~3).このなかで特にA.terreusの増加が強調されており,本真菌種のアムホテリシンB(AMPH)に対する低感受性から治療効果への懸念が論じられている1).一方,クリプトコックスは健常人に限局した肺病変を形成する真菌として知られているが,AIDS患者においては重篤な播種性クリプトコックス症を来す例が多いので注意を要する.しかし,HIV感染のない宿主に重症の播種性病変を形成することも少なくない.non-AIDS患者33例の肺クリプトコックス症のうち,11例に急性呼吸不全を伴い,55%の高い死亡率を示したとする報告4)もある.HIV感染者のみならず,免疫不全宿主では播種性クリプトコックス症の合併に十分な注意が必要と改めて認識させられる.
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