Laboratory Practice 〈微生物〉
深在性真菌症の血清診断
亀井 克彦
1
1千葉大学真菌医学研究センター
pp.121-124
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102743
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
深在性真菌症では起因菌検出による確定診断が容易でないうえ,細菌感染症にみられるような強力な抗菌薬を用いて診断的治療を行うことが困難なため,補助診断法,特に血清診断法の存在意義は大きく,このため多くの方法が開発されてきた(表1).大部分は真菌細胞壁あるいは細胞膜の物質を抗原抗体反応により,あるいは直接的に検出しようというものである.共通点として,感度や特異度に問題がある検査が多いので,1回限りの結果で判断するのでなく繰り返して測定し,再現性,動きなどを重視すること,偽陽性,偽陰性をきたす病態をよく理解しておくことが必要である.たとえば,同じアスペルギルス症であっても病型・病態によりその性能や意義は大きく異なってしまう.また,同じ検査名でありながら,使用している抗原が異なっていたり測定原理が違っているなど,実質的には別な検査が存在する例が大部分である.測定者がこれらをきちんと意識して測定し,その結果を判断する必要がある.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.