Japanese
English
特集 自律神経系と循環器疾患
序文
Impact of Autonomic Regulation on Cardiovascular Disease
砂川 賢二
1
Kenji Sunagawa
1
1九州大学大学院医学研究院循環器内科
1Department of Cardiology, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.235
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101905
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- Abstract 文献概要
自律神経系が循環器疾患,特に高血圧の病態に深く関わっていることは周知の事実である.そのため,古くから多くの自律神経に関する研究がなされてきた.しかしながら,自律神経による循環調節はその効果が比較的短期間に限られており,慢性の病態における役割は限定的と考えられていた.
一方,近年の分子生物学の進歩にともない,液性あるいはホルモン性の循環調節機構の解明が飛躍的な進歩を遂げた.その結果,高血圧を中心に機序に基づく創薬がなされ,劇的な治療効果をあげてきた.同時に,最先端の薬剤治療でも十分な降圧を得ることができない,いわゆる治療抵抗性高血圧の患者が少なからず存在することも明らかになった.ちょうどこのような時期に,神経性血圧調節は短期効果のみでなく,強力な長期効果もあることが次々と明らかになってきた.これらの自律神経系による循環調節の新知見を背景に,交感神経活動抑制を狙った頸動脈洞刺激や腎交感神経焼却の臨床試験が行われた.その劇的な降圧効果は高血圧・循環器専門医に衝撃を与えた.これらの治療戦略の成功は循環器疾患における自律神経の役割を改めて臨床医や研究者に認識させるところとなった.
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