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Bedside Teaching
スペックルトラッキング法
Speckle Tracking Imaging
渥美 安紀子
1
,
瀬尾 由広
1
Akiko Atsumi
1
,
Yoshihiro Seo
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科循環器内科
1Cardiovascular Division, Graduate School of Comprehensive Human Science, University of Tsukuba
pp.1023-1030
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101806
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はじめに
心エコー図はリアルタイムに心臓の動きを観察できる非常に有用な検査であるが,過去の検査と比較したり検査結果を他人と共有するためにエコーから得られる心臓の動きを数値化,定量化するということが常に求められてきた.心臓局所の動きに対しては,左室各部位の壁運動をスコア化して表現するwall motion score indexなどが用いられるが,壁運動のスコアは検者が見た目で判定するため,極めて主観的な手法であり,再現性や検者間誤差の点で問題がある.
そこで登場したのが組織ドプラ法による心筋壁の動きを計測するという手法である.隣接する2点間の速度差を計算することにより,心筋の歪み(strain),歪み率(strain rate)などを計測することが可能となった1).この手法は局所壁運動の定量化を可能にしたわけであるが,組織ドプラ法はドプラ入射角の影響を受けるため,ビームに平行な動きしか評価できないという問題点があった.
最近臨床応用可能になったスペックルトラッキング法は,関心領域の心エコー図上のスペックルパターンをフレームごとにトラッキングし,計算する新しい技術である.スペックルトラッキング法はBモード画像を用いて行うため,組織ドプラ法で問題となった角度依存性がなく,理論上あらゆる部位での壁運動の定量化が可能である2).
本稿では,このスペックルトラッキング法の原理や臨床応用について述べる.
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