増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査
A 心エコー法
3. スペックルトラッキング法の原理
阿部 康彦
1
1東芝メディカルシステムズ株式会社超音波開発部
pp.904-913
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102197
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はじめに
心エコーは虚血性心疾患,同期不全,心筋症をはじめとする心疾患診断のための簡便かつ正確な心機能評価の担い手として期待されている.とりわけ局所的な壁運動を解析することで,これらの診断に役立てようとする研究が盛んに行われてきている.これまでは主に組織ドプラ法(tissue Doppler imaging,TDI)を応用した壁運動解析が行われてきた.しかし,ドプラ法には角度依存性があるため,計算されるパラメータや解析できる領域などに制限が存在した.われわれはTDIに代わる次世代の壁運動解析技術として,超音波画像特有のスペックルパターンに着目したスペックルトラッキング手法を研究開発し,臨床での評価を繰り返してきた.そして,これまでの研究結果と臨床からのフィードバックを基に,新しい超音波診断装置AplioTMArtidaTM(以降,Artidaと称する)上に“Wall Motion Tracking(WMT)”アプリケーションとして搭載した.
本稿ではスペックルトラッキングの基本原理と特徴,および種々の壁運動パラメータがトラッキングの結果から,どのようにして求められるかを説明する.また,数値モデルによる検証と,これまでのバリデーション評価結果について報告し,臨床適応例についても紹介する.最後に,世界初の3次元トラッキングによる壁運動解析技術についても解説する.
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