Japanese
English
特集 インフルエンザウイルス感染症の最新の話題
インフルエンザ感染の重症化をもたらすウイルスと宿主の相互連関
Interrelationship between Influenza Virus and Host Cellular Factors which Exacerbates Viral Infection
木戸 博
1
,
奥村 裕司
2
,
高橋 悦久
1
,
矢野 仁康
1
Hiroshi Kido
1
,
Yuushi Okumura
2
,
Etsuhisa Takahashi
1
,
Mihiro Yano
1
1徳島大学疾患酵素学研究センター応用酵素疾患代謝研究部門
2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体栄養学分野
1Division of Enzyme Chemistry, Institute for Enzyme Research, University of Tokushima
2Department of Nutritional Physiology, Institute of Health Biosciences, University of Tokushima Graduate School
pp.973-981
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101799
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
「インフルエンザ感染で,重症化する患者と軽症に過ぎる患者では何が違うのだろうか」患者を目の前にして臨床医の頭をよぎる問いである.2009年に発生したInfluenza A/California/7/2009(H1N1)では,糖尿病患者,肥満者,妊婦,心,肺の慢性疾患,透析患者など,基礎疾患を持つ患者がハイリスク者と言われたが,その理由は何であろうか.未だこれらの問いに世界のインフルエンザ研究者は答えているとは言えない.
1918年の病原性の強いスペインかぜの大流行時にわが国だけで約39万人が死亡しているが,なぜこれらの人は死亡し,事なきを得た人とは何が違うのだろうか.その答えとして,重症化の基礎的背景がウイルス側よりは患者側に重く存在していたと考えるのが自然である.
本稿では,重症化の背景として,インフルエンザウイルスと宿主因子の相互連関について解説するとともに,重症化の体質としての遺伝子多型と,インフルエンザ感染について最新の知見を紹介したい.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.