巻頭言
被災地医療支援の日本の現状
佐田 政隆
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部循環器内科学
pp.543
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101719
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今月号の巻頭言を予定されていた東北地方の先生に代わり,急遽担当させていただくことになりました.はじめに,この度の東日本大震災の被災者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます.亡くなられた方々へ心からお悔やみ申し上げます.今回の未曾有の震災に際して,被災地医療支援の日本の現状について私が感じたところを述べさせていただきます.
第一に,情報の絶対的な不足です.悲惨な被災地の状況,避難所で困っている方々の姿が報道され,全国の医療関係者が何か行動を起こしたいと感じたと思います.しかし,現地での医療状況については全く不明な状況が続きました.3日くらいして被災地と電子メールが通じるようになり,現地の医療スタッフや被災地に入った救護チームから中核病院や避難所の状況が各学会のメーリングリストで流れるようになりました.しかし,その多くは,個人の体験に基づく断片的なものであり,全体像は把握できませんでした.薬品や医療器具,日常生活用品,食料に関しても全く足りないという声を聞く一方,もう充足されているという情報もありました.また,ある病院では現地スタッフが疲弊の限界にあると報道される一方,ある地域では医療スタッフがあふれてしまっており,特に何もすることもできず戻ってきたという話も聞きました.状況が日々刻々と変化するなか,各地からの情報を集約して,信頼できる情報として迅速に発信する中央の機関が必要であると感じました.
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