巻頭言
Lumpers and Splitters
渡辺 憲太朗
1
1福岡大学医学部呼吸器内科学講座
pp.117
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101634
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現時点で特発性間質性肺炎は7つの亜分類から成っている.最近の流れは呼吸器内科医,放射線科医と病理医との合議で7つの中のどれであるか診断しなさいということになった.今度新しく改訂される特発性肺線維症のガイドラインでは合議による診断は変わらないようであるが,世界的な潮流として病理組織所見よりもむしろHRCT画像のほうにより診断の力点がシフトしつつあるようだ.一介の臨床医ではあるが,間質性肺炎の病理に特に興味を持って取り組んできたというささやかな自負がある私としてはいささか躊躇するものがある.本来ゴールドスタンダードとなるべき病理組織診断がこれでよいのであろうか.
病理学者の方にとっては耳たこものであり,かつ失礼になることをお詫びしつつ申しあげるが,細かな意見の違いを削ぎ落とし,大方の病理の先生が理解できる共通言語としての病理診断がやはり必要ではないかと今さらながら思う.CT上,UIPらしくない症例しか生検される機会が少なくなった昨今,非特異的所見の集合体を単純に割り切る作業が極めて困難であることも理解しているが,それでも学問的探求心とは別に,現実的なより大きな枠組みで捉える病理学的着地点を見いだす作業にいま少し時間を割いていただくことはできないだろうか.
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