Japanese
English
Current Opinion
弁膜症のカテーテル治療
Percutaneous Treatment of Valvular Heart Disease
橋村 一彦
1
Kazuhiko Hashimura
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
1Department of Cardiovascular Medicine, National Cardiovascular Center
pp.521-527
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101483
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弁膜症のカテーテル治療をめぐる最近1年間の全般的な話題
1980年代に入りballoon valvuloplastyは肺動脈弁狭窄症と僧帽弁狭窄症1)に対しては第一選択としての治療法として確立された.一方,大動脈弁狭窄症(AS)に対する経皮的弁形成術(BAV)は,その合併症と効果が持続しないこと(1年での再狭窄率>80%)2)から現在ではほとんど行われていない.ここ数年間は,もっぱらASと僧帽弁逆流症(MR)に対して新しいデバイスが開発されている.一般にASに対する外科的大動脈弁置換(AVR)やMRに対する外科的弁修復(valve repair)の死亡率は5%以下であり,20年間での再手術回避率は70%以上であるが,高齢,低心機能,高度の合併症の存在のため,手術リスクがはね上がり大動脈弁や僧帽弁の手術に適応なしと判断された患者が増加しつつある.80歳代でもAVR後の5年生存率は70%以上であるが3),石灰化した大動脈や肺疾患,凝固異常などの存在が手術リスクを上げるため,経皮的なアプローチが注目を浴びるようになってきた.
また,重症の左室収縮不全では機能性僧帽弁逆流(functional MR;FMR)が高率に合併し,その程度が増悪すれば死亡率も上昇することが報告されている3).しかしながら,重症の収縮不全患者では左室駆出率は極度に低下しており開心術による弁形成術は極めてhigh riskである.そこで最近では,僧帽弁後尖が冠静脈洞に近傍に位置することから,カテーテルを用いてFMRを治療しようという試みが開始されている.
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