Japanese
English
特集 COPDの併存症・合併症
COPDと心血管系疾患
Cardiovascular Disease and COPD
佐田 誠
1,2
Makoto Sata
1,2
1国立循環器病センター心臓血管内科・呼吸器内科
2国立循環器病センター感染対策室
1Division of Pulmonology(Cardiology), Department of Internal Medicine
2Division of infection control and prevention, National Cardiovascular Center
pp.133-141
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101418
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙を主な発症因子とする慢性進行性呼吸器疾患であるが,冠動脈疾患や脳血管障害などとは対照的に,未だに死亡率が上昇している疾患でもあり,わが国では実に500万人以上がCOPDに罹患していると推測されている.近年,COPDは全身性炎症性疾患と言われ,主病変は肺であるが,その他の臓器にも様々な合併症を有することが明らかになってきた.そのなかでも喫煙という共通のリスクファクターを持つ各種心血管系疾患の合併率は高く,臨床症状の類似点も多いため正確な診断が要求される.当然合併例に対しては,心血管系疾患への影響を考慮しながらの治療が必要になってくるが,β受容体作動薬(刺激薬,遮断薬)をどう使ったらよいのかなど,明確な結論の出ていない問題も多く,臨床現場では混乱が多いのも事実である.しかし一方で,循環器系薬剤のCOPDに対する有効性を示唆するエビデンスも蓄積されつつある.COPDと心血管系疾患には根底に何らかの共通の病態があるのかもしれない.
本稿では,COPDと心血管系疾患に関する種々のエビデンスを紹介するとともに,COPD診療における心血管系疾患診療の重要性について概説する.この領域のエビデンスのほとんどが欧米からであり,わが国のCOPDにすぐに当てはめてよいのかという問題はあるが,わが国のCOPDを理解していくうえで大きな手掛かりになることは間違いないであろう.
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