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COPDの併存症・合併症とは?
併存症または合併症という用語は,comorbidityの訳語として使用されているが,わが国の臨床の現場ではその定義を意識して使用されているわけではない.comorbidityの用語を初めて使用したFeinsteinは,“ある対象疾患の患者が臨床経過中に存在する,あるいは新たに発症する可能性がある別個の疾患”とcomorbidityの用語を定義した.1996年にvan den Akkerらは,文献を詳細に調査し,comorbidityの用語は,定義にかかわらず実に様々な内容を指して使用されていたため,simple comorbidity,associative comorbidity,causal comorbidityの3つに分類して明確にその用語を使用すべきことを示している1).すなわち,偶然の合併であるかどうかにかかわらず,複数の疾患が共存する場合をsimple comorbidity,原因的関係がない,あるいは知られていない複数の疾患の共存についてはassociative comorbidity,共存する疾患の間に原因的関係がある場合はcausal comorbidityと定義している1).
これらの概念から理解されるように,COPDのcomorbidityとして議論されることは,偶然に合併する疾患を論じようとしているわけではない.COPD患者において,単に他の疾患や病気を併発しているのみならず,単に合併する以上の原因的関係が存在し,さらに疫学的なあるいは臨床的なインパクトがある場合を,COPDのcomorbidityとして,ここでの考察を試みることにする.気流制限で定義されるCOPDの重症度にかかわらず,肺外病変(extrapulmonary effects)の頻度は高く,それはCOPDのどの重症度においても生命予後に,また健康関連QOL(health-related quality of life;HRQOL)に影響することが示されている.したがって,他臓器における病変を意味あるものと位置付け,診断と治療に結び付ける再現性のあるアプローチが求められる.
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