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特集 マルファン症候群
心・大血管疾患に対する外科治療
Strategy of Surgical Intervention to Cardiovascular Manifestation in Marfan Syndrome
縄田 寛
1
,
師田 哲郎
1
Kan Nawata
1
,
Tetsuro Morota
1
1東京大学医学部附属病院心臓外科
1The Department of Cardiothoracic Surgery, The University of Tokyo Hospital
pp.1113-1120
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101363
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はじめに
多彩な症状を呈するマルファン症候群において,心・大血管疾患は生命予後に直結する最も重要な表現型である.未治療のマルファン症候群患者の平均寿命は35歳程度といわれており,その死因の90%以上が大動脈解離,大動脈破裂,あるいは弁膜症に起因する心不全である.マルファン症候群患者の83%に大動脈径の拡大が,大動脈弁逆流は53%に,僧帽弁逸脱は57%に,そして僧帽弁逆流が31%にみられるという統計もある.しかし,これらの病変に対して適切に介入することで,通常の人と遜色ない生活の質と寿命とを勝ち得ることも期待できる.経過観察時に時機を逸せぬよう,定期的な画像診断が重要である.大動脈病変の治療方針として,組織の脆弱性,解離の発症や再手術の可能性など幾つかの配慮すべき事項があり,早期に積極的な手術が考慮される.
本稿では,大動脈病変を「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)」1)に沿って,「急性大動脈症候群」と「慢性大動脈解離・真性大動脈瘤」とに分類する.一方の心臓病変は,「大動脈弁輪拡張症および大動脈弁逆流」,「僧帽弁逸脱症および僧帽弁逆流」,「心筋の異常および不整脈」の3つに分類し,これらへの外科的介入時期の判定を含む治療戦略について論じる(表1).
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