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特集 酸化ストレスと心血管病態
酸化ストレスと心不全
Oxidative Stress and Heart Failure
筒井 裕之
1
Hiroyuki Tsutsui
1
1九州大学大学院医学系研究科/医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.773-778
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902136
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はじめに
酸化ストレスとは,生体における酸化と抗酸化のバランスが破綻し酸化に傾いた状態と定義される.生体の酸化反応を担う主要な分子は,スーパーオキサイド(・O2—)やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種reactive oxygen spe—cies(ROS)である.近年,アルツハイマー病,がん,糖尿病などで酸素フリーラジカルが増加することが知られ,酸化ストレスが数多くの疾患の発症に関与していることが注目されている.さらに,動物の寿命と抗酸化能との間に強い相関のあることが報告され,酸化ストレスは加齢という生命現象の根幹に関わっていることも明らかにされている.循環器領域でも,従来から知られている虚血・再灌流障害ばかりでなく,動脈硬化や心不全といった多くの心血管病の発症に酸化ストレスが関与することが明らかにされつつあり,このような概念に基づいた治療の試みもなされつつある.
本稿では,心不全と酸化ストレスに関する最近の研究について概説する.
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