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特集 循環器疾患と地域連携
心臓リハビリテーションと地域連携
Cardiac Rehabilitation and Regional Medical Network
長山 雅俊
1
Masatoshi Nagayama
1
1榊原記念病院循環器内科
1Department of Cardiology, Sakakibara Heart Institute
pp.25-32
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101180
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循環器急性期治療の低侵襲化と入院期間短縮の弊害
急性心筋梗塞や不安定狭心症に対する急性期冠血行再建療法は,様々なデバイスの進歩と技術の向上により急性期予後の改善と重症となる患者の減少をもたらし,目覚ましい成果を上げるに至った.また,冠動脈バイパス術においても,体外循環を用いない心拍動下冠動脈バイパス術(off-pump coronary artery bypass;OPCAB)が主流となり,心臓手術の低侵襲化が進んでいる.しかしながら,その反面,社会の高齢化と治療技術の低侵襲化が相まって,術前から多くの合併症を持った高齢者が治療の対象となることが多くなるなど,対象患者のリスクは二極化しているといえる.そのようななかで,わが国の医療制度は現場における効率追求ばかりを求め,入院期間の短縮化を過度に強いているようにも感じる.
また,同じ循環器救急医療を担う医療者であっても,急性期治療後の生命予後や高いQOLの獲得を目的とした心臓リハビリテーション(以下,心リハ)についての知識が欠落しているか,もしくは分かっていても対応のできていない医療者が多いのも事実である.入院期間の短縮により,患者は十分回復していないのに退院させられたと感じることが多く,また,患者教育を行う時間が不十分であるなどの弊害が現場では生じている.また,心リハへの参加は生命予後やQOLに関して様々なエビデンスが報告されているが,わが国における心リハ普及率は外来心リハを行える施設が10%以下であると報告されている1)など,極端に低いのが現状である.
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