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はじめに
Systemic inflammatory response syndrome(SIRS,全身性炎症反応症候群)は感染,外傷,膵炎,熱傷や手術侵襲などを契機に炎症が局所にとどまらず全身性に波及する病態の総称で,生体への侵襲に対して免疫細胞から過剰に産生されたサイトカインによる高サイトカイン血症およびそれに伴う全身への影響がその実態である.
1991年ACCP/SCCM全体会議は“Definitions for sepsis and organ failure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis”を発表し,SIRSの概念を打ち立てた1).“敗血症”や“敗血症性ショック”などそれまであいまいであった言葉の定義を明確化し,具体的な治療指針を記載し,同様の病態に対する管理・治療の標準化を図り,早期診断,早期治療を促した.以前よりSIRSに合致する病態は認められていたが,改めてその病態に明確な診断基準を設け症候群の名前をつけることが,現在行われている多施設でのEBMに基づく抗菌療法,循環呼吸管理法や,分子生物学的研究をはじめとした小規模から大規模な研究を行うことをも可能とした.その点で1991年のstatementの意義は大きい.
CCUを含まないICUでの最大死因は敗血症であり2),SIRSにおける敗血症の割合は高いため,2001年にはEuropean Society of Intensive Care Medicine(ESICM),American Thoracic Society(ATS),Surgical Infection Society(SIS)も加わったInternational Sepsis Definitions Conferenceの結果を発表し3),2004年にはより多くの学会を巻きこみ大々的な“Surviving Sepsis Campaign”と銘打ってEBMに基づいた敗血症の詳細な診断,治療,全身管理に言及した4).先ごろ改訂版“Surviving Sepsis Campaign:International guidelines for management of severe sepsis and septic shock:2008”を上梓したばかりである5).
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