病気のはなし
全身性炎症反応症候群(SIRS)
平山 陽
1
,
平澤 博之
1,2
,
松田 兼一
1
1千葉大学医学部附病医院救急部/集中治療部
2千葉大学医学部救急医学講座
pp.6-10
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905696
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新しい知見
生体が侵襲を受けそれに対する反応として腫瘍壊死因子(TNF),インターロイキン-1(IL-1),IL-6などの炎症性サイトカイン(inflammatory cytokine)が産生され,それらが吸収され全身を循環し,炎症反応を引き起こしている状態が全身性炎症反応症候群(SIRS)である.SIRS状態の生体は一方でそれに相対する反応としてIL-1 receptor antagonist(IL-1 ra),IL-4,IL-10などの抗炎症性サイトカイン(anti-inflammatory cytokine)を産生してバランスを保ち,生体のホメオスターシスを維持しようとする.この反応をSIRSに対して,compensatory anti-inflammatory response syndrome(CARS)と呼ぶ.そして,このSIRSとCARSが混在している状態をmixed antagonistic response syndrome(MARS)と称している.
SIRSの治療としてanti-inflammatory cytokineを投与し,人工的にCARSを発症させようとする治療も検討されてきている.
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