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特集 脂質異常症治療の展望と課題
血管生物学からみた脂質異常症とその治療
Role of Dyslipidemia in Vascular Biology
相川 眞範
1
Masanori Aikawa
1
1ハーバード大学医学部ブリガム・ウィメンズ病院循環器科
1Cardiovascular Division, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School
pp.1105-1110
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101143
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はじめに
心筋梗塞などの急性冠動脈疾患の多くは,炎症細胞に富み,コラーゲンに乏しい動脈硬化プラークの破綻と血栓形成により誘導されると推定される.高脂血症,特に高LDL血症が動脈硬化を促進することは動物実験,疫学調査に基づき,長年にわたり知られていたが,スタチン系薬剤を用いたLDL低下により急性冠動脈疾患を有効に予防しうることが漸く証明されたのは1990年代のことである.基礎研究からは,脂質低下が血管の炎症を改善することが示され,スタチン大規模試験ではLDL低下に平行して,イベント抑制効果が認められている.
本稿では動脈硬化の進展における脂質異常症の役割および脂質低下の効果について概説する.
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