Japanese
English
綜説
ERストレスと心血管病
ER Stress and Cardiovascular Disease
山本 博之
1,2
,
南野 哲男
2
,
浅井 光俊
2
,
塚本 蔵
1,2
,
明石 雅史
1,2
,
北風 政史
1
Hiroyuki Yamamoto
1,2
,
Tetsuo Minamino
2
,
Mitsutoshi Asai
2
,
Osamu Tsukamoto
1,2
,
Masafumi Myoishi
1,2
,
Masafumi Kitakaze
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
2大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, National Cardiovascular Center
2Department of Cardiovascular Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.925-930
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101110
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はじめに
膜蛋白質や分泌蛋白質などの新生蛋白質は小胞体(ER)にて折りたたみ(フォールディング)や糖鎖修飾を受け,高次構造を形成し,蛋白質としての機能を獲得する.蛋白質合成亢進,酸化ストレス,蛋白一次構造の変異などが原因となり,小胞体内に不良蛋白(unfolded protein)が蓄積するとERストレスセンサーが活性化し,不良蛋白蓄積を軽減するためのシグナルが小胞体から発信される.この一連の生体防御反応はERストレス応答またはUPR(unfolded protein response)と呼ばれる.しかしながら,ERストレスが過度な場合や遷延した場合,小胞体よりアポトーシスを誘導するシグナルが発信され,障害細胞が除去される.興味深いことに,このERストレス応答が変性蛋白凝集による神経変性疾患,糖尿病などの多くの疾患の発症や病態に深く関与していることが明らかになりつつある.
近年,肥大心・不全心,心筋虚血再灌流障害,動脈硬化などの循環器系疾患の発症・進展にもERストレス応答が関与することを示す報告が相次いでいる.本稿では,各種循環器疾患の病態におけるERストレス応答の役割を中心に述べる.
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