巻頭言
結核予防法から感染症法へ
山岸 文雄
1
1国立病院機構千葉東病院
pp.553
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101053
- 有料閲覧
- 文献概要
昨年4月に結核予防法が廃止され感染症法に統合された.その経緯と現状に言及する.
結核予防法は1919年に制定され,1951年に全面改正された.1951年当時,新登録結核患者数は約59万人(10万対698),死亡者数は約9万3千人(10万対111)と高蔓延状態で,国民病として恐れられていた.結核予防法の改正により国をあげて結核対策が行われた結果,蔓延状況は順調に改善していった.その後,厚生科学審議会感染症分科会結核部会の「結核対策の包括的見直しに関する提言」を受け,2005年4月に結核予防法は50余年ぶりに大改正が行われた.それまで一律に行われていた定期健診が,リスク評価を重要視した効率的な健診へと変わり,また4歳までの乳幼児に対し,ツベルクリン反応の陰性を確認して行われていたBCG接種が,ツベルクリン反応検査を廃止し,生後6カ月までに直接接種を行うとされたのである.そしてこの改正による評価もなされないわずか2年で結核予防法は廃止され,2007年4月に感染症法に統合されたのである.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.