特集 結核を見逃すな!
肺結核を診断したらどうするか―結核予防法に基づく流れ
下内 昭
1
1大阪市保健所
キーワード:
結核菌培養結果
,
DOTS(直接服薬確認治療)
Keyword:
結核菌培養結果
,
DOTS(直接服薬確認治療)
pp.382-385
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100094
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結核患者の発生届けおよび登録(表1)
■発生届けおよび登録の必要性
上記のCaseは時間的経過から,父親が感染源と考えられ,長女の発病の半年前の症状発現時に家族に感染したと考えられる.したがって,もし,2001年に届け出がなされておれば,保健福祉センター(都道府県の保健所にあたる)からの患者管理がなされ,治療が中断した時には,医療機関と連携して検討し,治療を再開して治癒していたかもしれない.そうすれば,その後の家族への感染・発病は防ぐことができたと思われる.
全国で結核罹患率が毎年減少しており,単純に新規登録患者を内科医師数で割ると,平均して2年に一度しか結核患者を診断しないことになる.結核の治療経験がそれだけ少ないと,治療方針や副作用への対処も手探りにならざるを得ないであろう.しかし,患者発生届を出して,その後の医療費申請書が提出されれば,治療方針に関しては結核診査協議会から必要な助言が得られ,保健所と医療機関が連携した患者管理がなされる.さらに患者家族などの濃厚接触者に対して健診が実施され,患者発見や感染者に対する化学予防が適用され,二次感染による発病を予防できる.
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